経営管理ビザとは、外国人の方が会社を設立し自身が経営するとき、又は、会社の役員や支店長として就任するときに申請するビザです。
本邦において行うことができる活動として次のように規定されています。
「本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動」
該当例:企業等の経営者・管理者
事業の経営とは、言葉の通り経営で簡単に言えば社長です。
事業の管理とは、例えば支社の支店長等です(この管理の仕事に従事する場合は、3年以上管理者としての実務経験が必要です)。
日本人の配偶者ビザ、永住者、永住者の配偶者ビザ、定住者ビザの方は就労制限がありませんので経営管理の仕事をするとき、経営管理ビザを取得する必要はありません。
ここでは、外国人の方が独立し、新規に会社を立ち上げた場合について記載します。
新規に会社を設立した場合、業務の内容はどのようなものでもよく(飲食店、マッサージ店、貿易関係、IT関係等)、また、その業務内容についての学歴要件がありません。
どの外国人の方でも取得できる可能性があるビザですが、起業し安定的な経営が出来なければ、取得、更新が難しいビザでもあります。ですので、明確なビジネスプランが必要になります。
ですので、まずはこの事業で絶対に成功する!という強い意志が必要になってきます。
新規に会社を設立し経営管理ビザを取得するときは次のような順番で計画的に行います。
➀事業の計画を立て、会社設立のための定款作成や、資金の準備を行います。
➁会社の設立登記。
➂会社名義での事務所の確保(賃貸物件等)及び、事業の内容が店舗ビジネス(飲食店やマッサージ店、美容院等)の場合は、店舗の準備。
➃税務署等への各種届出。
➄行うビジネスが、許可が必要な場合、許認可の取得。
例:飲食店 ⇒ 飲食店営業関係の許可
中古品(車等) ⇒ 古物商の許可
➅経営管理ビザの申請を入管に行う。
最終的には、経営管理ビザを取得しなければならないため、資金の関係や、事務所の要件等、ビザ取得ができるような形に持っていく必要があります。
新規に会社を設立して経営管理ビザ取得するときの要件(代表的な要件)
➀事業を営むための事業所が日本に確保されていること。
会社の事務所を確保する必要があります。事務所は、住居とは別に確保されている必要があり、住居兼事務所という形では、認められない事が多く、避けるべきと思います。
また、不動産会社との賃貸借契約の際は、会社名義で、その使用用途は事業用である必要があります。店舗ビジネスの場合は、店舗が確保されており、すぐ営業できる状態までにしておきます。
②申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること
★資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。
会社を立ち上げるときに出資金の額を決定しますが、外国人経営者の方は500万円以上の出資をすることが経営管理ビザ取得の際、一番の近道となります。ただ、この500万円はどう貯めたのか等の、出所を証明する必要があります。この要件に当てはまる場合は、二人以上の常勤職員を雇う必要はありませんが、どういったビジネスをするのかにより、後々、人員確保は必要となってきます(詳しくは下記ご覧ください)。
★その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する二人以上の常勤職員が従事して営まれていること。
経営管理ビザを申請する人以外に、職員を二人雇用する必要があります。また、この職員は日本人、外国人である場合は特別永住者、日本人の配偶者等、永住者等の方です。この要件に当てはまれば500万円の出資は必要ありません。
上記の要件以外に、会社で行う事業の安定性、継続性、具体性等を認められなければなりませんので、事業計画書等で説明していく事になります。例えば、「この店舗の場所はこういった立地条件のため、こういった客層が集客できる予定で、売上がこのくらい見込まれます」や「このITサービスを徹底したウェブ集客のもと、こういった企業に勧めていき、これぐらいの売上を見込む」といったように具体的な自身の計画を書面等で説明する必要があります。
また、経営管理ビザを取得しようとする外国人の方が、経営に関する仕事をすることが条件となります。注意すべきは店舗ビジネスの場合です。経営管理ビザを取ろうとする外国人の方が接客、施術、調理といった仕事は出来ません。経営管理ビザを取ろうとしている外国人の方が500万円を出資したので人を雇う必要がない、というわけではなく、当然そういった施術等を担当する職員を雇い入れる必要があり、今後雇い入れる職員の計画についても説明する必要があります。
経営管理ビザを取得しようとする外国人の方本人の報酬(給与)も、ビザ申請においては重要な要素となります。報酬は20万円程度で設定することをお勧めします。極端に低い報酬では、日本での暮らしがままならない、といった印象を入国管理局に与え、ビザ不許可となりかねません。
会社設立してからのビザ申請ということは、お金もかかりますし、失敗してしまったときの損失も大きいので、全てを計画的に行うことが必要です。専門家の助けが必要になる場面も多いと思いますので、そうした場合は遠慮なく専門家を活用しましょう。